天平散歩~読書2020/07/29 21:23

なかなか太平洋高気圧が張り出さず、梅雨が明けないどころか、豪雨災害が北上。。。
本当ならば、今頃はオリンピアの祭典で世界中が盛り上がっていたはずなのに・・・
再びコロナが猛威を振るいだして大変な事態になってしまいました。
政府の政策に腹の立つ毎日です。。。

さて、四連休は読書三昧でした。
以前に「読書~今昔」で書いた様に、近頃はどこでもすぐに手にとれる電子書籍が
とっても便利で、時間があるとiPadのブックストアを覗いたり、Kindleで気になるタイトルを検索してみたりしています。

ブックストアで連休前に出会った本は「秋萩の散る」澤田瞳子著でした。
三省堂書店員の「本作から澤田文学に触れたた読者は極めてラッキーだ。歴史ものを書かせたらいま最も信頼のおける書き手・・・」の解説にひかれて、無料サンプルをダウンロードしました。
この時は、作家澤田瞳子さんについては何も知りませんでした。
後日、調べてみると、1977年京都生まれで専攻は奈良仏教史で、2010年小説家デビュー作「孤鷹の天」で文学書を受賞。お母様も時代小説作家。
奈良仏教史専攻で納得。。。
「秋萩の散る」は、表題の作品の他に4編の短編が載っています。
全編、時代は天平(奈良)時代で、登場するのは鑑真・安倍仲麻呂・吉備真備・恵美押勝(藤原仲麻呂)そして道鏡と歴史の時間に聞き覚えのある人物。
奈良時代の風景は馴染み薄く、奈良公園と東大寺大仏、そして唐招提寺の伽藍等で人々の
そこでの営みが頭の中で映像化出来ないのですが、どの短編作品も抵抗なく受け入れる事が出来る文章で、その時代の風を感じて奈良の都に引き込まれてしまいました。
ただ、この時代の漢字の読みが難しくてルビがないと読めない。。。
それはそれで軽く流して読みました。

「凱風の島」は、鑑真・安倍仲麻呂が登場する遣唐使の話。
「南海の桃李」は、遣唐使船が南海の島伝いに航海し漂着した時に目標になる碑を建てようとする吉備真備の話。
「夏芒の庭」は、恵美押勝に翻弄される大学寮の純粋な若者の話。
「梅一枝」は、聖武帝の王子・久世王の話。
そして、「秋萩の散る」は、称徳女帝亡き後、下野に流された道鏡の話。
歴史上「怪僧」と教えられた老僧道鏡の、秋萩の野で女帝を思い自分を振り返り
心穏やかな境地になる姿を描いた作品。読むまでは道鏡に興味は無かったけど、
読み終わったら道鏡は本当に怪僧なの?と・・・
歴史は後世に作られる事も多いから・・・もしかしたら・・・と思いました。


そして、「秋萩の散る」を読み終わってこの時代をもう少し歩きたいな~と思い
ネットサーフィンして、「女帝の手記」里中満智子5巻を読破。。。
Renta!に会員登録しちゃいました。簡単でした。

今では、コミック本の細かい字は読みづらくてダメですけど、デジタル版は拡大出来て読みやすい。。。5巻一気読みでした。
「女帝の手記」は安倍内親王が、女性皇太子となり孝謙天皇、重祚して称徳天皇となった女帝の物語作品。
上記の澤田作品と同じ時代を時系列で読めるので歴史の整理が出来ました。
道鏡について・・・里中さんは、道鏡の書を見て素直さを感じて
この作品に登場する道鏡を、安倍女帝を支え慕う一途な男性として表現したそうです。
澤田瞳子さんも、小説で後世の道鏡伝説とは違う道鏡像を描きたかったのでしょう。

長くなってしまったので次回は「泣くな道真」について・・・
ここまで連休中に読破。。。久々の読書三昧でした。

読書~今昔2020/05/22 22:34

今は昔~こんな書き出しで始めるのも何ですが、本屋さんで長い時間過ごす事が
ありましたよね。。。
立ち読みと言うよりは、興味あるジャンルの棚の前で「こんな本がある~」と手に取って
めくってみたりして、時間が過ぎていました。
中学高校時代は、電車通学だったので、下車駅の本屋さんに寄り道してました。
大学時代は、渋谷の大盛堂書店、紀伊国屋書店、三省堂書店で雑誌や新刊本を眺めて、
数冊購入して帰宅していました。渋谷もすっかり変わって書店の姿がなくなりました。

もう大分以前から、書店を覗く時間が持てず必要な本はアマゾンで購入し、翌日手元に届く事が多くなりました。
それでも本が並んでいると・・・、興味をあるタイトルを見つけてはつい手が出てしまいます。
そして今は、iPadで電子書籍の時代。。。
深夜でも新聞の書籍広告で目にした本を検索して電子化されていたら、ダウンロード。。
TVを見ていて気になった本も検索して、ダウンロード。。。
便利と言えばとっても便利です。
本屋さんの棚を眺めるように、関連書籍をネットサーフィンしてみたり。。。
特に自粛生活中はこの上なく便利なものです。
次々と興味のあるタイトルに出会います。楽しいです。。。

近頃は、どんな本に出合ったは次回紹介します。。。

    今日はママのお話でした~ 次回は明日??  by ソフィ

「父は空 母は大地」・・・2013/08/22 20:21

夏休みの初日に絵本作家勝山千帆さんの茶話会で出合った本。。。
「父は空 母は大地」(Chief Seattle's Speech 1854)

アマゾンで検索して対訳版を購入しました。

この本は・・・、
1854年、時のアメリカ政府が3年間の先住民との戦いの末に、先住民の土地を買収し居留地を
与えると申し出、その合意の下、インディアンたちが先祖代々の土地を去る時、
首長シアトルが、白い人・大統領に伝えて欲しいと演説した内容が伝えられたものです。

ワシントンの大首長が土地を買いたいといってきた。

どうしたら 空が買えるというのだろう?
そして、大地を。

大地は わたしたちに属しているのではない。
わたしたちが 大地に属しているのだ。

あなたの子どもたちにも 伝えたほしい。
大地は わたしたちの母。
大地にふりかかることは すべて わたしたち 大地の息子と娘たちにも ふりかるのだと。
                                         (寮 美千子訳 抜粋)

先日、この本を知った時、かなり衝撃をうけました。
アメリカの先住民インディアンと白人入植者による戦いの物語、または、先住民と親しく交わった
入植者の話は、映画やドラマで知る範囲を出ません。
先住民の首長が、大地へ深い愛情を注ぎ無益な戦いを続けるよりは、新しい大地(居留地)で
命を育んでいく道を選び、そして、白い人よ、大地を汚すことなく守って欲しい、それは、
すべての子孫の為にと願ったスピーチの素晴らしさに心が洗われた思いがしました。

寮美千子さんの日本語訳は、声を出して読むと強さの中にも優しさが伝わって来ました。
決して難しい英語でははないので、対訳本を購入しました。

このシアトル首長のスピーチは、伝えられているうちにある部分が削除されたり加えられたりしたそうで、ワシントン州立図書館には50を越える異なったバージョンのテキストが収蔵されていると、
あとがきに記されています。
この本は、「人間と大地の関わり」に深く関係する言葉だけを抜き出して編集したともありました。

すべてが、先住民シアトル首長の純粋な言葉ではなくても、大地への想いは伝わり、
この夏、小さな蔵書が一冊増えたことは、とっても嬉しい出会いでした。









「きもの帖」 幸田文著・・・2012/09/19 22:43

昨日の続きです。。。お邪魔嬢が登場してPCをとられない内に・・・。

久々の中距離電車移動の時に読んだ本は、
「幸田文 きもの帖」 幸田文著 青木玉編
 
幸田文著

明治の文豪幸田露伴の次女幸田文が、「主婦の友」「美しいキモノ」「婦人画報」等の雑誌にきものについて書いたエッセイをまとめた本で、
本の帯には『「きものは心意気で着るものです」一生和服で通した幸田文の、
ふだん着の、きもの入門』とあります。

子供の頃からふだん着にきものを着るのが好きだった私は、結婚するまでは
かなり「きもの」に愛着を持ち、和裁に着付けさらに組紐を習い自分で組んだ帯締めを〆て楽しんでいました。
そして、一昨年の秋から「毎月一度は着物を着る!」ことに努めたのですが、
昨年の春にソフィが来て、そして、3.11の震災があったりして、月一はご破算になってしまいました。そのうちに、ふだん着の着物姿でワンコを遊べたらいいのですが。着物姿でお散歩なんか・・・。
そんな訳で、一生和服で通した著者の「きもの」は心意気で着るものとの言葉に誘われて手元の置いてある一冊です。

         え~、わたちのせいにするんでちゅか~~。
ソフィ

この本は、きものについて、「きもののいろは」「きもの春夏秋冬」「きものの心意気」の三章からなり、それぞれに、きものの着こなしや季節について、きものは着ている人の心持で人を引きたてるもの・・・等の言葉が綴れています。

ふだん着の縦縞の着物の着こなしは・・・、年齢とともに以前は似合わなかった縞のきものが着こなせる様になったり、帯も同じである時に相性がピッタリすると・・・。お洒落や正装の着物より、ふだん着の着物の着こなしの方が難しいもので、ふだん着なのだから、さらっと着ていなくてはいかないと、いつも思っているのですが・・・。周囲の人も、着物姿を特別な装いと感じてしまうようですし・・。

薄物のきものの重ねの美しさ・・・、すけて見える薄物は私の憧れるお洒落で
ある。暑い夏の着物姿は、人目に涼しさを感じてもらわなくてはならないが、
麻の着物などは、肌にまとわり付かないので、私的には好きである。

藍ののりのきいた浴衣は、ひと夏のもの!そうなんだと初めて知りました。
浴衣はひと夏着たら、翌夏は寝間着になり、最後は雑巾にまでなる。
そう言えば、祖母も毎年新しい浴衣を縫っていた様な記憶がある。

この本は、文章が書かれた年代と著者の年齢が文章の最後に記載されているので、昭和の時代を明治生まれの著者が、着物を通して生活の変化をどの様に見ていたのかも興味深く感じられるエッセイでもある。
何処からでも読めて、ちょっと着物に興味があったら読んでみてもいいかもしれないと思う一冊でした。

**久々に長い文章を書いたけど、まとまりのない文脈・・・。**

久し振りに本の話です・・・2012/09/18 23:50

本当に久し振りの本の話。。。

近頃は、オフィスから用足しで一駅程度の近場で電車に乗る時以外はほとんど
は車での移動です。
電車で中距離移動をする時は、なにかしらの読む物を持参します。
数年前に埼玉方面の仕事で時間節約も考えて頻繁に埼京線を利用していた時は、読書がかなりはかどったものでした。
移動中の読書以外は、就寝前にベットサイドに積み重なっている本の一番上の読みかけを数ページ・・・、読んでいるうちにだんだんと瞼が重くなってきます。
同じ箇所を何度も繰り返し読んでいたりします。
クレジットカード会社からの雑誌や通販カタログに目を通すのもかなり時間がとられてしまい、いわゆる読書の時間がゼロ状態。

先日、久し振りに電車での中距離移動。。。
手近にあった本を持って出掛けました。
小説ではなくエッセイだったので、興味をそそったタイトルのページをめくって
ランダムに読みました。
この本の内容について書こうと思っていたら、少々邪魔が入ってしまい夜が更けてしまったので、また明日にします。
このお邪魔嬢は、高校の文化祭準備で我がPCの画像処理ソフトフォトショップを使いにくるのです・・・。明日も来ると言ってる!
ソフィ

            今晩は、出番がないみたいでちゅ~。。。







「おじさん・おばさん論」・・・2011/12/18 11:00

久し振りにカテゴリ「読書」です。。。

「おじさん・おばさん論」 幻戯書房 海野弘著

本年4月に発行された本で、その時に、新聞の新刊本の書評でタイトルが目にとまり、早々にアマゾンに注文した本。
何故ならば、自分達が「おじさん」であり「おばさん」で、その存在が、姪達の両親にとって、時々ありがたくない存在に思えることもあるようなので、「・・・論」なるこの本のタイトルが興味を呼びました。

本の内容説明は、アマゾンのカストマーレビューに詳しく書いてあるのでそちらで読んでいただく事にして・・・。
さて、私達は姪達からみると伯父・伯母の漢字が当たります。
辞書に、「おじ」とは父母の兄弟をさし、父母より年上の場合は伯父、年下の時は叔父とり、
「おば」も同じである。小父と書くとよその大人の男一般をさすとある。

核家族化した今の子供達は、社会に出るまで接する大人は両親と先生が主で、親戚の大人の人や、近所の大人と接することも少なくなっている時代、社会について学ぶチャンスがとっても少なくなっているのではないでしょうか。
親や先生ではない大人で、身内の大人が「おじさん」「おばさん」である。
著者曰く、「・・・そこにはやかましい両親にはない、なにかわくわくするものがあり、家では許されないことができる自由がある。」のが、甥姪とおじおばの関係で、それは、斜めからの文化の継承であると
書いている。

そこが、おじおばの存在価値で、親からは伝えられない文化を伝えて行く役割があるように思います。それは、時には甘やかし、内緒話を聞いてあげたり、大人の経験を話したり、子供から大人への成長を手助けすることなんではないかなと思っています。

「トム・ソーヤーの冒険」のマーク・トウェンの伯母さん、ゴッホの伯父さん、ロダン、ニュートン、
ベートーヴェンなどのおじ・おば・姪・甥、それぞれが斜めの関係で、それどれの業績を残していったことがこの本の中で紹介されています。
この斜めの関係は、人間形成には欠かせない大切な関係でその後の人生を左右した関係だったのです。

昨日より、海にガーデンに高校生の姪が友人と一緒に泊まりに来ました。
彼女が生まれた時に、ここをリフォームして幼稚園・小学校の頃はよくここへ遊びに来ていました。
両親が来なくても私達と一緒に・・・。
でも、成長するにつれて、週末の時間が忙しくなったことや、親元を離れた自由な時間が制限されてしまったので、本当に久し振りに友人を誘ってやって来たのです。

自宅にいては制限されるゲームやPCを思う存分に楽しんで、夜遅くまで友人とおしゃべりをしたり・・・・。自由な時間を謳歌しているようです。
そして、食事中の会話から彼女達の今を垣間見たり、友人の「パパがね・・、○○って言うの。」なんて愚痴を聞いてあげたり。自分達の当時の話をしたり・・・。

今週末はこんな時間を過ごしております。

世のおじさん・おばさん、ちょっとだけ斜めの関係を考えて、彼氏彼女達の相手をしてあげててみてはいかがですか?







今日は何故・・肩こり・・・2011/02/08 20:33

何故か今日は朝から肩こりが・・・。
上絵の仕上げ作業もしていないのにな。。。と考えて、肩こりの原因が判明しました。

ここ毎晩、就寝前に読書をしていたから・・・。
昨年の秋にちょっとだけ読み始めた直木賞作家山本兼一著「命もいらず名もいらず」を
読んでいるから、こんなに肩がこるんだと思いました。
読書で眼が疲れるから肩がこる。。。そうかもしれませんが、原因はちょっと違う様に
思えます。

命もいらず名もいらず

この本の主人公は、山岡鉄舟、山岡鉄太郎。
上巻の帯には・・・、
      「日本をどうする。 お前はどう生きる。 
               最後のサムライ・山岡鉄舟、堂々の生涯」

とことん本気で。いつどこで何をする時でも、とことん本気で事に当たる山岡の生き方。
江戸総攻撃を回避するために、駿府の大総督府へ走る、上野に立て篭もる者達への
説得と、図太く体当たりの生き様に、読んでいる内に力が入ってしまって、朝目覚めると、肩が凝っている状態になります。

さてこれから先、どの様な体当たり人生を送るのか。
勝海舟とともにどの様に徳川家の残務処理に取り組み、何故、明治天皇の教育係りの侍従の職につくのか。
興味がつのるが、今晩は読書を休み事にしよう・・・・・・・・・・。
上絵の仕上げ作業をしなくてはならないから。。。



映画「武士の家計簿」鑑賞・・・2010/12/11 10:06

先週末より上演されている「武士の家計簿」を見て来ました。。。
武士の家計簿
昨夜は、Qさんが友人との飲み会へ出掛けたので、飲み会が終わるまで「武士の家計簿」を見ようと前々から決めていました。
さて、「渋谷 or 品川」どちらで見ようかなと・・・。
渋谷は、西武B館の裏でロフトの並びの渋谷シネパレスです。
スクリーンもあまり大きくなく、客席も120席から150席程度の小さな所ですが、
小奇麗で気持ち良く、一人での映画鑑賞には良いシネマだと思います。

シネスクリーンでのフイルム鑑賞は、久し振りで3~4年振りかもしれない。
この頃は、すぐにTVで放送されるので、それで済ませているから・・・・・・。

渋谷シネパレスは、席がすべて指定席で、チケットを購入する時に画面を見て場所を
指定します。上演25分前に行ったら、画面上で埋まっている席は3席程でした。
お金を払おうとしたら、プライス表を指して「どちららになりますか?」って聞かれたんです。「エッ?何?」と思ったら、「一般 or 学生 or シニア・・」のどちらですかって事だったんです。
まさか、学生だとは思わなかったでしょうから、1800円 or 1000円かって聞かれた訳でしょうね。1000円で鑑賞したいけど、残念と言うかお陰様と言うか1800円を払いました。

「刀ではなく、そろばんで、家族を守った侍がいた
         ・・・家族の物語が、168年前の家計簿から今、よみがえる。」

江戸時代後半から明治・・、髷を結って刀をさしお城勤めをしているし主人公、背景からは時代劇なんだけど、時代劇じゃなくて現代のホームドラマの様な感じを与える坦々とした映画でした。
原作が原作だけに、物語がどのように展開されるのかと思いながら鑑賞していたら、
刀ではなくそろばんで生きる侍の家族を丁寧に表現して見せてくれました。
そして、そこには興行としての見せ場として、「父と子」の葛藤とそれを見守る母の姿が
展開されていました。
ただ、当時の社会背景や経済を理解して見ていないと、なんだかわからないかもしれないな~と、思ってしまいました。かなり、話が坦々と展開してしまうので。。。
もう少し丁寧に役職などの説明や、家計簿の内容を描いてあると、前知識のない人にも
優しいかったかなと感じてしまいました。

家財道具一切を並べて道具屋に売り払い、無利子の拾年月賦を交渉し、直之が子供の顔を真直ぐに見たいと言う箇所が、この映画の見せ場ではないでしょうかね。
猪山直之の愚直で実直な人柄が表現されていて・・・。
そして、168年経って自分が記した入払帳が、こんな形で世の中に知れ渡ったなんてきっとあの世で驚いていることでしょう。

猪山家については後日に・・・。
こちらも参考にしていただければと少しは、物語の理解が深まるかも。
 
猪山家の財産売却リスト



「黒龍の柩」・・・2010/12/07 23:00

夏休中に読破宣言していた、北方謙三著「黒龍の柩」上下はその後、読み終ったの?
何方にも尋ねられないけど、お答えすます。
8月中には読み終らなかったけど、すでに9月初旬には読む終えております。
読み終えたのですが、何だか読後感想を報告するチャンスを逃しておりました。
理由は定かではないのですが・・・・・。
もしも、この本をこれから読むつもりの方で物語の結末を知りたくない方は、この先は読まない方が良いと思います。。。

友達と新選組の土方歳三と山南敬助の関係について話していた時に、
彼女が、二人の面白い関係が書かれた小説として「黒龍の柩」を進めてくれた。
その時は物語全体の話題より、この二人の関係をこんな風に解釈するのも「ありでしょ。。」との事だった。
北方謙三の歴史小説は初めてなのと、ハードボイルド小説家が描く土方像で私の中で出来上がっている新選組や土方のイメージを壊される事はイヤだったので、ちょっと躊躇しながらこの本を手にした。
北方謙三は「ハードボイルド小説の主人公は、一途な男でなくてはならない」と語っていたのを聞いて、一途な男=土方歳三は間違えないのだが・・。

この本の上巻の帯にある著者の言葉は・・・、
「潰えていく男の夢を、私は描きたかった。土方歳三が、主人公になっている。新選組を扱った小説は、多数ある。あえて新選組を素材の中心にも持ってきたのは、そのイメージもまた、どこかで変えたいという、小説家としての欲望があった。」

著者の小説手法なのか、登場人物の会話で進むストーリー展開。
新選組のあり方と土方の男としての夢に対しての、土方と山南の会話。
どちらの言葉か,順を追いながら読まなくてはならない。
病魔に犯され余命いくばくと悟った山南が、土方の男の夢の為に自らの命をかけて、
幕閣勝海舟の不戦を貫き列強から国を守る事の意を探りだし、さらに、新選組の分裂危機に、土方歳三が男の夢を見ることを願って、脱走切腹の道を選択する。
山南敬助の突然の脱走と局中法度による切腹の事実を、こんな形で結びつけたストーリーに、友人が進めた理由がわかった様な気がした。この小説に描かれた強い山南敬助は、なかなかいい。
著者は、山南が切腹の行為で己の腹に刃を刺す事によって病巣を自ら掻き出す強い男に描き、そして、土方の切腹を命じる冷徹な姿に、混乱の時代に己の夢を貫く為に生きるハードボイルドの主人公を描いた。

さて、この小説の登場人物は、新選組のメンバーの他は、幕臣勝海舟、小栗上野介忠順、坂本龍馬、そして徳川慶喜である。
ピースメーカーの坂本龍馬は、薩長と幕府との内戦回避の為には、戦わずして政権返上した徳川慶喜を隠密裏に蝦夷地へ渡らせて、そこに新国家を建設する構想の実現に、徳川家の存続を想う幕臣勝海舟を動かす。
著者は、蝦夷地での新国家構想実現に向けて、京都に於いて土方歳三と勝を出逢わせ、彼に新選組の枠を超えた男の夢を抱かせる。土方と勝の出逢いは、意標を突く組み合わせで驚いた。史実的に勝は、新選組土方歳三を好まなかっただろうから。
また、土方と龍馬の密会の場面もある。そして、「京に入るな。武力倒幕派の暗殺は半端ではない。」と忠告している。この小説では、龍馬暗殺は薩摩西郷の仕業としているのも面白い。

下巻の帯の著者の言葉に・・・
「小説である。正史をなぞるわけではない。権力移譲の不可解さから、想像力が働き、ひとつの仮説の中で、人の物語が立ち上がったのが、この作品である。」

仮説「徳川慶喜を蝦夷地へ・・」の実現の為に、鳥羽伏見の戦いの後、この小説の土方歳三は、北関東・会津・奥州と転戦しながら勝そして小栗上野介のもとを飛廻り、山中に潜伏する慶喜を警護し、自らは蝦夷へ渡る。スーパーマンの様な活躍振りが描かれていて、さすがにハードな主人公である。
このまま夢が実現して慶喜が蝦夷へ渡ってしまうのかと読み進むと、小栗上野介の惨殺そして勝と西郷の駆け引きによって夢が潰えて行き、物語は箱舘での終結へと。。。
そしてなんと、最終章ではこの物語の初めから登場していた武士の身分を捨てた料理人久兵衛が、土方歳三の影武者として一本木に死し、土方歳三は、北の大地に馬を駆けてフェードして行くのである。
蝦夷に夢を実現しようとした男たちが見た夢は、美しすぎたので潰えたと、著者は土方に語らせている。夢を抱くものにとってその夢は、いつでも美しいもであるから、実現しようと努めるのではないのか。その夢が潰えたとき、何故実現出来なかったのかと振り返る。著者は、久兵衛なる人物を最後に影武者に仕立て、結末で夢破れた土方をフェードさせるために利用している。
正史のなかの仮説物語は、夢を追う男として土方歳三を葬ることなく、消え去らせたのであろうか。








夏休み・・夏休み♪♪・・2010/08/12 21:54

今日から夏休みです!!
1週間の夏休みを湯河原の海のガーデンですごす予定です。
この1週間、庭仕事だけで過ごすなんて事は、絶対ナイ!

溜まった本を読破!
予定しているお皿を描く!
湯河原B級グルメ「坦々焼きそば」を食べる!
TVの湯河原名所めぐりで見る旧跡寺社を訪ねる!
もちろん庭の手入れ!

欲張り過ぎでしょうか??
東京から持参した本だけは読み終えたい。

昨年末の友人お薦め本・・・「黒龍の柩」上下 北方謙三著
この本の主人公は、土方歳三。
北方謙三の描く土方は、一度は読む価値ありと薦められて読み始めたんだけど、この小説をゆっくりと読む時間がいままでになくて、中断していました。
今回一から読み直しです。

「謎とき徳川慶喜 なぜ大坂城を脱出したのか」 河合重子著
「幕末維新消された歴史 武士の言い分江戸っ子の言い分」 安藤優一郎著
この2冊は、繰り返し読んでいるので、手元に置いて置きたく持参。

それと、あと1冊・・・コバルト文庫「あさぎいろの風 たまゆら」
先日来、このライトノベルにはまちゃったんです・・・。
これは間違えなく読み終わります。
これで「あさぎいろの風」全巻完了。

この夏休みの読書は、「土方」がキーワードのようですね・・・・・。

夏休み初日は、外は台風4号で大荒れでした。