天平散歩~読書2020/07/29 21:23

なかなか太平洋高気圧が張り出さず、梅雨が明けないどころか、豪雨災害が北上。。。
本当ならば、今頃はオリンピアの祭典で世界中が盛り上がっていたはずなのに・・・
再びコロナが猛威を振るいだして大変な事態になってしまいました。
政府の政策に腹の立つ毎日です。。。

さて、四連休は読書三昧でした。
以前に「読書~今昔」で書いた様に、近頃はどこでもすぐに手にとれる電子書籍が
とっても便利で、時間があるとiPadのブックストアを覗いたり、Kindleで気になるタイトルを検索してみたりしています。

ブックストアで連休前に出会った本は「秋萩の散る」澤田瞳子著でした。
三省堂書店員の「本作から澤田文学に触れたた読者は極めてラッキーだ。歴史ものを書かせたらいま最も信頼のおける書き手・・・」の解説にひかれて、無料サンプルをダウンロードしました。
この時は、作家澤田瞳子さんについては何も知りませんでした。
後日、調べてみると、1977年京都生まれで専攻は奈良仏教史で、2010年小説家デビュー作「孤鷹の天」で文学書を受賞。お母様も時代小説作家。
奈良仏教史専攻で納得。。。
「秋萩の散る」は、表題の作品の他に4編の短編が載っています。
全編、時代は天平(奈良)時代で、登場するのは鑑真・安倍仲麻呂・吉備真備・恵美押勝(藤原仲麻呂)そして道鏡と歴史の時間に聞き覚えのある人物。
奈良時代の風景は馴染み薄く、奈良公園と東大寺大仏、そして唐招提寺の伽藍等で人々の
そこでの営みが頭の中で映像化出来ないのですが、どの短編作品も抵抗なく受け入れる事が出来る文章で、その時代の風を感じて奈良の都に引き込まれてしまいました。
ただ、この時代の漢字の読みが難しくてルビがないと読めない。。。
それはそれで軽く流して読みました。

「凱風の島」は、鑑真・安倍仲麻呂が登場する遣唐使の話。
「南海の桃李」は、遣唐使船が南海の島伝いに航海し漂着した時に目標になる碑を建てようとする吉備真備の話。
「夏芒の庭」は、恵美押勝に翻弄される大学寮の純粋な若者の話。
「梅一枝」は、聖武帝の王子・久世王の話。
そして、「秋萩の散る」は、称徳女帝亡き後、下野に流された道鏡の話。
歴史上「怪僧」と教えられた老僧道鏡の、秋萩の野で女帝を思い自分を振り返り
心穏やかな境地になる姿を描いた作品。読むまでは道鏡に興味は無かったけど、
読み終わったら道鏡は本当に怪僧なの?と・・・
歴史は後世に作られる事も多いから・・・もしかしたら・・・と思いました。


そして、「秋萩の散る」を読み終わってこの時代をもう少し歩きたいな~と思い
ネットサーフィンして、「女帝の手記」里中満智子5巻を読破。。。
Renta!に会員登録しちゃいました。簡単でした。

今では、コミック本の細かい字は読みづらくてダメですけど、デジタル版は拡大出来て読みやすい。。。5巻一気読みでした。
「女帝の手記」は安倍内親王が、女性皇太子となり孝謙天皇、重祚して称徳天皇となった女帝の物語作品。
上記の澤田作品と同じ時代を時系列で読めるので歴史の整理が出来ました。
道鏡について・・・里中さんは、道鏡の書を見て素直さを感じて
この作品に登場する道鏡を、安倍女帝を支え慕う一途な男性として表現したそうです。
澤田瞳子さんも、小説で後世の道鏡伝説とは違う道鏡像を描きたかったのでしょう。

長くなってしまったので次回は「泣くな道真」について・・・
ここまで連休中に読破。。。久々の読書三昧でした。