「武士の家計簿」を読む・・2010/02/06 23:50

「武士の家計簿・・加賀藩御算用者の幕末維新・・」著者磯田道史(新潮新書)を読みました。
数年前にNHHの番組で採り上げた時に、触りだけを見ていて興味を持っていたのですが、先日、堺雅人・仲間由紀恵主演で映画化の記事を読んで、すぐにこの本を買いに行きました。 

この本は、加賀藩の御算用者猪山直之なる武士が残した家計の古文書をもとに書かれた、江戸時代末期から明治期の、猪山家の経済状況とそこから知れる当時の武士の生活が書かれた興味深い内容です。

まずこの本を手にしてページを開くと、著者がこの古文書を入手した時の驚きと喜びが「はしがき」の文章から想像できます。神田神保町の地下鉄の階段を駆け上がり、目的の古書店に急ぐ著者の姿が浮かんでくるようです。
著者は手に入れた古文章を「解剖」すると書いていますが、解剖医の如く1枚1枚丁寧に扱い解読して、そこから江戸時代の武士の姿を解読してくれたのです。

この古文書は1842(天保13)年~1879(明治12)までの加賀藩御算用者猪山家の記録で、年収の二倍の借金をどの様な「不退転の決意」で処理したかを詳細に記録していたのです。
映画では、この記録を残した直之を堺雅人さんが演じ、その妻を仲間由紀絵さんが演じて、家族一丸となって借金を返済して家を守り存続させて行く家族の姿が見られるのでしょう。

「身分利益」=「身分収入」-「身分費用」
「武士身分として格式を保つために支出を強いられる費用」=「身分費用」
「その身分であることにより得られる収入や利益」=「身分利益」
江戸時代の武士は、体面を保つ為に「身分費用」のなかで「祝儀交際費の支出」が大きく占め、このために借財が嵩み、一方で、収入は米価変動と貨幣経済の発展で減収、この狭間で家計は困窮状態となったのです。
娘の祝い膳は絵に描いた鯛ですませ、嫡子の祝い膳は親類縁者大勢に尾頭付きの鯛を振舞う。
当時の武士の生活が目に見えて興味の尽きない内容です。
この続きはまた書きたいと思います。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
はじめてのシュナの名前は?

コメント:

トラックバック