唐招提寺と壬生寺2010/01/28 18:10

奈良の唐招提寺と京都の壬生寺・・・このふたつの寺の関係は?

言うまでもなく、唐招提寺は、日本に仏教の戒律を伝える為に、危険な渡海を繰り返し六度目にして日本の土を踏む事が出来た鑑真和上を開祖とする寺である。
京都の壬生寺は、壬生の地で幕末新選組が生まれた場所で、新選組との関わりが深い寺として知られている。

このふたつの寺の何処に共通項があると思いますか?
実は、壬生寺は律宗総本山唐招提寺の末寺なのです。
私がこんな事に関心を持ったのは、壬生寺が律宗である事に少し驚いたからです。

壬生寺は平安時代に三井寺の僧侶が建立し、その後浄土教の宗派である融通念仏宗によって行われた「大念仏狂言」を伝承する寺として知られています。
大勢の民衆を前に劇仕立で優しく念仏の徳を説いたものが重要無形民俗文化財である「壬生狂言」として伝えられています。
そして延命・厄除けの地蔵菩薩を本尊として庶民の信仰を集めて来ました。
今は、「壬生狂言」よりは新選組の縁の寺として知られているようですが・・・。

天平の仏教南都六宗は、その後の浄土へ往生する為の救済仏教とは違い、教義奥義を学術研究する仏教でした。律宗もその一つの宗派であり、鑑真和上は「共に来縁を結ばん」と海を渡って大和の地で戒壇院を開いたのです。

「壬生狂言」で知られる壬生寺は、何だか勝手に浄土教の宗派だと思っていただけなのですが・・・。さらに、現在の律宗総本山唐招提寺松浦俊海長老(最高位)は、壬生寺の住職を兼ねておられるそうです・・。

・ ・何でこんな事を書いたかですか?・・
先日、新聞で唐招提寺松浦俊海長老の「共に来縁を結ばん」と言う記事を読んで、このふたつの寺がこんな関係があった事を知り、興味深かったからです。