「左右」について・・・2010/03/30 23:19

左上位??
昨年9月の「エスカレーターの乗り方」~正しいものが左にくる~についての続編です。 http://kazahana.asablo.jp/blog/2009/09/15/
(続きをと思っているうちに年を越し、ついに春になってしまった・・。時間の過ぎるのが早い・・・。)

何で「左」なんですか?「右」じゃいけないのですか?
そんな疑問が残ったまま・・・。それで、調べてみました。
そうしたら、雛人形の並べ方の疑問にも出くわしたので、3月3日のこの時期を逃してはいけないと思いつつ、でもあと数日で弥生三月も終わってしまいます。
良かったら来年、雛人形を飾る時に思い出してみて下さい。

現在は一般的には、向かって左側に男雛を、右側に女雛を飾っていると思います。
でも、京都のお雛様は、向かって右側に男雛を飾っている様です。
つまり左に男雛、右に女雛を置き、左上位の考えに従っています。

京都御所(紫宸殿)は、北を背に南に向かって建てられていて、東である左側が左京で、西の右側が右京と呼びます。そして向かって右側に左近の桜、向かって左側に
右近の橘が植えられている。
さて、左大臣と右大臣のどちらが上位でしょう。太政大臣、左大臣、右大臣の順と定められています。

舞台では、役者さんの左側が上手で右側が下手となります。
つまり、観客席からは、向かって右側が上手で左側が下手と呼ばれています。

さて、~正しいものが左にくる~は、正しい者とは上位の者と解釈して、「左が上位」とする考え方に行きつきました。つまり、「天子南面の思想」によるとか・・・
天子が北を背にして南に向かって座した時、天子の左側=東から日が昇り、
右側=西に日が沈むので、日の昇る左を上位とする考えで、もちろん、大陸から伝わって来た考え方でしょう。
この考えを知ってから、左と右の悩みが少し解決しませんか。
上座と下座で悩んだ時や、京都に出掛けて東西方角を見る時、歌舞伎を見に行って「上手から・・」と言われた時は右手の方を見れば良いわけですね。

雛人形の飾り付けについても、京都では昔からの左上位の考え方で飾られているのですが、現在は、上位と言われる左側に女雛を飾っている理由は・・・。
近代に入って皇室で、天皇皇后の立ち位置が西洋のそれに倣われて、写真撮影が発表された事により、その後雛人形の飾り方が左右逆転したとか。
そして今は、結婚式での花婿花嫁の並び方も、花嫁が向かって右側の左上位になっています。(??女性上位??これについてはノーコメント・・・)

西洋における右上位(右の優越性)は、「なぜほとんどの人間社会では左手よりも右手を優遇するのか?そもそもなぜ人間には右利きが多いのか?」という疑問を、フランスの社会学者・人類学者ロベルト・エルツが「右手の優越—宗教的両極性の研究--」論文で左手よりも右手が優先する論理を述べているそうです。
(・・難しく詳しい事が知りたい方は、この後はご自身でお調べ下さい。・・)

兎にも角にも、日本でも西洋化が進んだ時点で左と右が混乱してしまったのでしょうか。
この「左右」を考える程に思考回路に混乱を来たし、今日まで悩んでいました・・。
「エスカレーターの乗り方」~正しいものが左にくる~、これも左上位の考え方と言う事ですか。

今手元にある雑誌を見ると、江戸城大奥での雛祭りの様子を描いたとされる「葵艸松の裏苑」(豊原国周画 明治時代)では左上位に男雛が描かれているが、幕末期の雛飾りを丁寧に描写した「江戸のおもちゃ絵より 雛人形づくし」(一鵬斎芳藤画)弘化~嘉永(1850)年頃の絵では、女雛が向かって右側の左上位に描かれています。
機会があったらちょっと気に掛けて眺めてみるのも良いかもしれませんよ。
我家でも、掛け軸の絵と雛人形の飾りは御覧の通りです・・・・・。

最後にもう一つ・・・着物の着方についてですが・・。
着物を着る時は、着物の袖に手を通して自分の右手側の身頃(下前)を、自分の左手脇に持って行き、左手側の身頃(上前うわまえ)を右脇側に・・、これは決して「左前」とは言いません!「右前」なのです。「左前」は死者への着付け方となります。

左と右の横道にそれてもう一つ・・・芸者さんのことを「ひだりづま」と呼びますが、着物の裾部分の先端を褄先(つまさき)と呼び、左手で左褄(着物の右褄)をとる事を「左褄」と言うのですが、この理由を今回理解しました。深い意味が・・・。
(納得しました。)----何のこと?? 知りたい方は、自分で調べてみて下さいね。


「左右」についてはここまで・・。
今回は下記のページを参考にさせて頂ました。 ありがとうございました。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~outfocus/  左右の理屈 日本的「左の優越」論